世界遺産
世界遺産とは、1972年に採択された「世界遺産条約」に基づいて、国連教育科学文化機関(UNESCO)の「世界遺産リスト」に記載された遺産のことで、国家や民族を超えて人類が共有し、次世代に受け継いでいくべき価値をもつ遺産を対象としています。
世界遺産には、自然遺産、文化遺産、複合遺産の3種類があり、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」は2021年、日本で5番目の世界自然遺産に登録されました。
世界自然遺産の登録基準
世界自然遺産として登録されるためには、次の4つの価値基準(クライテリア)の1つ以上に合致するとともに、適切な保護管理体制がとられている必要があります。
「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の世界自然遺産登録は、このうち「生物多様性」の基準を満たすと認定されたことによるものです。
自然景観 | ひときわ優れた自然美および美的要素をもった地域。 |
地形・地質 | 生命進化の過程や、地形形成において進行しつつある重要な地学的過程など、地球の歴史の主要な段階を代表する地域。 |
生態系 | 現在も進行中の生物の進化や動植物群集の見本となるような、極めて特徴のある生態系を有する地域。 |
生物多様性 | 絶滅のおそれがある野生生物の生息地など、生物多様性の保全にとってもっとも重要な生物の生息・生育する地域。 |
日本の世界自然遺産
屋久島 | 1993年登録 | 【登録基準】自然景観、生態系 |
白神山地 | 1993年登録 | 【登録基準】生態系 |
知床 | 2005年登録 | 【登録基準】自然景観、生態系 |
小笠原諸島 | 2011年登録 | 【登録基準】生態系 |
奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島 | 2021年登録 | 【登録基準】生物多様性 |
世界自然遺産登録までのプロセス
2003年 | 国の「世界自然遺産候補地に関する検討会」において、 奄美群島を含む琉球諸島(当時)が世界自然遺産候補地に選ばれる。 |
2013年 | 奄美大島、徳之島、沖縄島北部、西表島の4地域を推薦候補地として絞り込む |
2016年 | ユネスコへ推薦書暫定版を提出 |
2017年 | (2月)ユネスコへ推薦書正式版を提出 (3月)奄美群島国立公園新規指定 (10月)ユネスコの諮問機関・国際自然保護連合(IUCN)による現地調査 |
2018年 | IUCNによる評価結果の勧告(登録延期) 推薦の取り下げ |
2019年 | (2月)ユネスコへ推薦書を再提出 (10月)IUCNによる現地調査 |
2020年 | IUCNによる評価結果の勧告 世界遺産委員会にて登録可否の審議 ※新型コロナの影響により延期 |
2021年 | IUCNによる評価結果の勧告(予定) 世界遺産委員会にて登録が決定 |
国立公園
国立公園は、優れた自然の地域が指定されるわが国を代表する景勝地です。
2017年3月にわが国34番目の国立公園として指定された奄美群島国立公園は、亜熱帯照葉樹林を中心とする生態系を積極的に管理する「生態系管理型国立公園」と、人間と自然が深く関わり調和してきた関係そのものを対象とする「環境文化型国立公園」という2つの新しい考え方による保護管理が行われます。