希少種の保護と外来種対策
世界自然遺産に登録された奄美大島には、この島にしか生息していない動植物が数多く生息しています。
希少種の保護
交通事故(ロードキル防止)
アマミノクロウサギなど、交通事故で死んでしまう希少種を減らすため、ロードキル防止看板を設置するなど、特に夜間の山道などでゆっくりとした速度での運転を呼びかけています。
パトロール
奄美大島自然保護協議会では、豊饒な自然環境とそこに生息する動植物を次世代に引き継ぐことを目的として、平成28年からパトロールを実施しています。国道、市道、林道沿いに生息する動植物の確認と保護活動を行っていますが、近年は趣味の飼育や販売を目的とした捕獲・採取が発生しており、注意喚起の看板や監視カメラの設置をしています。
ヤギ被害防除対策
野生化したヤギの食害による希少野生動植物を含む植生の破壊によって、土砂崩壊等の被害が発生しております。
世界自然遺産地域をノヤギの被害から保護することが重要な課題となっていることから、ノヤギの捕獲など対策に取り組んでいます。
ウミガメ保護対策
ウミガメは豊かな自然環境を構成する貴重な野生生物で、学術的及び文化的価値があることから、自治体や住民が一体となって調査・保護を行い、共有の資産として未来へ継承するよう、保護対策に取り組んでいます。
サンゴ礁の保全
サンゴ礁にはさまざまな生物が生息し、豊かな生態系を形成しています。
また、観光資源としての活用や、防波堤の役割など、自然にとっても人々の暮らしにとっても、貴重な財産です。
このサンゴ礁を守るために、オニヒトデの駆除やサンゴの生育状況の調査・研究などを行っております。
外来種対策
奄美大島では、様々な外来生物が侵入し、奄美大島本来の生態系に悪影響を及ぼしています。
特にマングースやノネコなど、外来生物による在来生物の捕食が問題となっています。また、侵略的外来植物のツルヒヨドリ、オオフサモ、オオキンケイギクなどが島内希少種の生育地に繁殖し希少種の消滅が心配されています。
これらの外来生物への対策を行い、希少野生動植物への影響を止めることが課題のひとつです。
特定外来生物
マングース対策
ハブ咬傷被害やネズミ対策として昭和54年(1979年)頃に放たれたフイリマングースですが、ハブの猛毒を本能的に察知したマングースはアマミノクロウサギやケナガネズミなど、捕獲捕食が容易な絶滅危惧種の天敵となりました。
これを受けて環境省では奄美野生生物保護センターを拠点に平静17年、一般社団法人自然環境研究センター「奄美マングースバスターズ」を設立し根絶に向け活動してきました。平成30年の4月に罠による捕獲以降は捕獲「0」が続いています。マングースの減少に伴い、アマミノクロウサギの推定個体数も増加しています。
令和6年9月に開催された奄美大島フイリマングース防除事業検討会において、令和5年度末までの防除作業の確定値を踏まえた根絶確率の推定結果を基に、科学的見地から特定外来生物フイリマングースが根絶に達したと評価することが妥当であるとの評価が下されました。上記検討会の評価に加えて関係機関からの意見も踏まえ、環境省は令和6年9月にフイリマングースが奄美大島から根絶されたことを宣言しました。
奄美大島規模の島嶼でのマングースの根絶事例は世界初の成果です。